伊豆市のわさびに関するページ
1 わさびについて
わさびは、キャベツやブロッコリーと同じアブラナ科の植物に属する日本固有の農産物です。
根茎部分をすりおろすと清涼感のある香りと、わさび独特の爽やかな辛さを感じることができ、和食文化の名脇役として、寿司、そば、刺身などに使われるだけでなく、近年ではステーキや焼肉などの肉料理にも利用が広がっています。
このページでは、伊豆市におけるわさびの生産や活用、わさび田見学などの様々な情報を発信しています。
2 伊豆市のわさび生産について
静岡県は水わさびの根茎(生のすりおろし部分)の生産量、産出額ともに全国一位のわさび産地です。
中でも、静岡県内の生産地のうち、約7割の栽培面積が集中する伊豆市は全国屈指のわさび産地です。
伊豆市産のわさびの多くは、JAを通じて全国の中央卸売市場に出荷され、高単価で取引されており、各地の寿司屋、蕎麦屋、焼肉店、旅館等で活用されています。
近年では、世界的な和食ブームにより、アメリカやヨーロッパ、アジア圏への輸出の需要も増えています。
3 伊豆市のわさび栽培の歴史について
静岡県はわさび栽培の発祥地であり、1596~1615年頃に現在の静岡市葵区有東木地区でわさびの栽培が始まったと言われています。
正確な記録はありませんが、徳川家康が駿府城に隠居した際に、献上品として食べたわさびをとても気に入り、門外不出としたのではないかと言われています。
その後、現在の伊豆市天城湯ヶ島地区で原木椎茸生産を行っていた板垣勘四郎氏が有東木地区へ原木椎茸の指導に赴いた際、その御礼にとわさび苗を持ち帰り、伊豆市でわさび栽培を始まったきっかけと言われています。
4 畳石式(たたみいししき)栽培方式の開発と普及
今からおよそ100年前の明治時代中期には、わさびが腐ってしまう病気が流行し、問題となっていました。
この問題を解決するため、現在の伊豆市中伊豆地区の土木職人であった平井熊太郎氏が約10年に渡り研究を続け、開発したのが畳石式と呼ばれるわさびの栽培方式です。
畳石式は、わさびを植える表層に砂を敷き、下の層に行くにつれ段々石を大きくしていくことで、湧き水を表面だけでなく、内部にも浸透させることができます。
このろ過装置をひっくり返したような構造により、わさびが水に含まれる栄養分や酸素を十分に取り込むことができ、さらに汚れが溜まりにくいため、病気に強く、根茎の肥大に優れた品質の高いわさびの生産が可能になりました。
その後、畳石式栽培方式は、静岡県内や全国のわさび栽培地域に普及していきました。
5 「静岡水わさびの伝統栽培」が世界農業遺産に認定
世界農業遺産とは、伝統的な農業を行い、そこに文化や景観、生物多様性が産まれ、それらが一連の繋がりを持った地域を「生きた遺産」として認定する制度です。
静岡水わさびの伝統栽培は、
1 世界で初めてわさびの栽培が始まり、畳石式栽培方式という伝統的な農法を今も受け継いでいる生産者がいること。
2 山林からの豊富な湧水を利用し、肥料や農薬などをほとんど使わない地球環境に優しい農法により、わさび田が様々な生き物の棲み処になっていること。
3 暑さや直射日光に弱いわさびを守るため、わさび田に植えられているヤマハンノキという落葉樹と棚田状のわさび田が独特な景観を形成していること。
4 わさび漬けやわさび焼酎など、地域に根付く6次産業化が行われていること。
5 台風や大雨などの大きな災害を繰り返し受けながらも復旧し、産地を守り続ける災害に対する力強さがあること。
などが評価され、平成29年3月に日本農業遺産に認定され、翌年平成30年3月に世界農業遺産に認定されました。
世界農業遺産に認定された後は、国内外から伊豆市のわさびに注目が集まり、わさび田を訪れる観光客が増加する一方、伊豆市のわさび田は観光地ではないため、トイレや休憩スペース等がなく、ゴミの不法投棄や、わさびの盗難などが問題となりました。
6 わさび田を見学する際のルール及び注意点について
市内のわさび田は中山間部の上流に位置し、農業生産の本場となっています。残念ながら観光客のみなさまを歓迎するための整備はできておらず、駐車場やトイレなどはありません。
市内のわさび生産者が営農に集中し、世界に誇る高品質なわさび生産が続けられるよう、わさび田を見る際は以下のことに注意して下さい。
1 わさび田には入らない
わさび田は私有地であるため、勝手にわさび田に入ってはいけません。
2 道際や足場の悪いところに近づかない
わさび田は山間部に位置し、道路の舗装は十分でないことが多いです。
また、路肩の下は数十メートルの崖となっている場合もあります。
安全に注意して見学をお願いします。
3 先にトイレを済ませて
わさび田周辺にはトイレがありません。必ず先に済ませましょう。
4 自然を大切に
わさび田周辺の植物、昆虫、動物はお互いに助け合ってわさび田の環境を作っています。生態系や環境を守るためにも採取は絶対にしないでください。
5 ゴミは捨てない
わさび田周辺にはゴミ箱はありません。ゴミはお持ち帰り下さい。
6 動きやすい服装で
わさび田は山間部に位置するため、気温が低く肌寒く感じることがあります。
防寒着を準備するとともに転倒によるけがの恐れもあるため動きやすい服装で、履きなれた運動靴を着用することをおすすめします。
7 伊豆市わさびの郷構想について
伊豆市では「わさび」をキーワードにした総合的な地域振興を図るため、令和元年6月に「伊豆市わさびの郷構想」を策定しました。
この構想に基づき、市内わさび生産の振興、わさびの活用に関する振興、情報発信や交流等の振興を推進していきます。
8 わさびの拠点施設について
伊豆市では、伊豆市のわさびファンや地域交流の増加を目的として、伊豆市のわさび生産の歴史や世界農業遺産の認定ポイント等を分かりやすく発信するとともに、市内でわさびが買える、食べられるお店の案内、わさび田見学ルールの周知、わさびの食体験等を提供する交流拠点施設の整備を進めています。(令和5年6月現在)
※施設の設計コンセプトに関する検討は以下参照
わさびの拠点施設整備に関するとりまとめ(PDFファイル:423.2KB)
わさびの拠点施設整備に関するとりまとめ説明資料(PDFファイル:1.1MB)
伊豆市では、令和6年4月のオープンに向けて当拠点施設の愛称を募集します。
令和5年7月1日より、以下に応募フォームURLを設けて、施設愛称の募集を開始しますので、みなさまの御応募お待ちしております。
この記事に関するお問い合わせ先
農林水産課 農業水産スタッフ
伊豆市小立野24-1
電話:0558-72-9892 ファックス:0558-72-9909
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更新日:2024年08月02日