所信表明(令和2年6月定例会)

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更新日:2023年03月01日

 令和2年伊豆市議会6月定例会に臨むに当たり、所信を申し上げます。

 私が市長に就任した平成20年の所信表明からの引用を、4年前にも、この場において申し上げました。

 「新たな伊豆のモデルを作り上げるためには、美しい自然や歴史文化財などの守るべきものをしっかり守りながら、市の活性化を阻害している惰性を廃し合併の真の狙いを着実に具現し、未来に向けて新たな歩みを進める勇気が必要です。」

 私の基本的な考え方は、今でもまったく変わっておりません。

 しかしながら、現在、私たち誰もがかつて経験したことのない危機に直面しています。2月下旬から衝撃的な影響が顕在化してきた新型コロナウイルス感染症はいまだ収束しておらず、観光を基盤産業としている伊豆市においては、市民の生命と健康を守ることに万全の体制を備えつつ、市内の社会経済活動を維持するため、国や県の施策と連携して、事業者及び事業所を支援することに全力を傾注しているところです。

 まずは、新型コロナウイルス感染症対策を最優先課題とし、市内での感染者を発生させないこと、そして市内の社会経済活動を安定的な回復軌道に乗せることが、東京2020大会に対する現時点での最大の支援策であると考えています。そのため、3月定例会において可決承認いただいた令和2年度事業においても、一部に延期や見直し、或いは執行を凍結する事業があり得ることをご理解いただきたいと思います。

1.伊豆市の未来を拓くための主要3事業

 伊豆市の未来を拓くための事業の推進に当たっては、第2次伊豆市総合計画を中核として、二度に亘って期限が延長された新市建設計画のほか、地方創生人口ビジョン及び総合戦略との連携による相乗効果を図りつつ、着実に事業を進めてまいります。

 中でも、合併特例債を財源として活用する次の大型3事業につきましては、期限内(令和6年度末)に完了しない場合には、財政的に市民の負担が増え、日々の行政サービスに大きな影響を及ぼす可能性があることから、慎重かつ遅滞なきよう着実に進めてまいります。

  1. 新ごみ焼却施設
     現在、伊豆の国市との間で一部事務組合を設置して推進している新ごみ焼却施設については、本年度から本格着工に入りました。アクセス道路となる県道修善寺天城湯ケ島線については、佐野工区を工事中です。また、準用河川待沢川上流に整備する国の直轄砂防事業については、約4億円の予算を付けていただきました。いずれも、新ごみ焼却施設稼働開始に合わせて事業を完了する予定となっています。今後も国や県と強固な連携を図りつつ、安全で安心な市民生活のための新ごみ焼却施設を着実に整備いたします。
  2. リハビリテーション中伊豆温泉病院
     下白岩地区への移転が予定されている中伊豆温泉病院については、今年度中に工事着手の予定となっています。伊豆市としても、地域住民の皆様の健康を支える医療体制を維持するため、財政面を含めて全面的に支援するとともに、令和5年の移転完了を目指し、JA静岡厚生連と緊密に連携してまいります。
  3. 伊豆市新中学校
    教育委員会が決定した基本方針に基づき、新中学校整備事業を着実に進めてまいります。市長としては、特に、一部の市民の間で懸念の強い事業費の財源について丁寧に説明し、市民の理解を深めてまいります。教育委員会では、令和元年度に策定した基本構想を基に、今後速やかに基本設計の作成作業に入ります。

2.人口減少社会を克服し、誇りと活力に満ちた伊豆市を創造するための事業推進

  1. 産業振興
     人口減少対策の柱である「雇用」と「所得」について、今回の新型コロナウイルス感染症により、あらためて観光産業が裾野の広い産業であることを実感しました。観光客が市内消費にもたらす効果は非常に大きく、市の人口の百倍を超える観光交流人口をマーケットとして活用することは、市の産業政策における必須要件です。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せた際には、機を逃さずに積極的でかつ大胆な観光振興策を展開してまいります。
  2. 移住・定住促進
     都市計画見直しの効果、都市計画地域拡大の目的を最大化できるようまちづくりを進めてまいります。まずは、線引き廃止の効果が現れつつある牧之郷駅及び修善寺駅周辺地域への移住・定住施策を強化します。
     伊豆縦貫自動車道の整備進捗は、移住・定住施策の追い風になります。地域づくり協議会等地域の活動とも密接に連携し、空き家活用を含めて定住人口の増加を目指します。
  3. 教育環境の向上
     子育て世代がもっとも望んでいる「よりよい教育環境」の充実に努め、幼児教育と小中学校教育との連携をさらに強化してまいります。教育施設整備については、学校再編事業と歩調を合わせつつも、緊急に必要な整備は着実に進めてまいります。
  4. 東京2020大会
    東京2020大会は、1年延期となりましたが、準備期間が長くなったことを前向きに捉え、おもてなしやバリアフリー、多言語化の整備などを着実に進めます。また、オリンピック・パラリンピック競技大会という世界的な大規模スポーツイベントの開催地としての責務を果たすとともに、大会の開催を通じて、伊豆市の国際的なプレゼンスの向上を図ってまいります。

3.市民の命を守る防災・災害対策

  1. 防災拠点公園の整備
     行政課題として残っている防災機能を備えた拠点公園について、早急にそのあるべき姿についての検討を進めたいと考えています。備えるべき機能、施設、規模等について具体化し、市民の意見や財政状況を踏まえて事業化に向けての課題を整理します。
  2. 津波防災
     津波対策については、
    • a.津波から生命を守るための避難
    • b.発災後の避難生活
    • c.津波災害特別警戒区域、都市計画拡大の連携による安全なまちづくりを施策の軸として、観光防災まちづくりを着実に進めてまいります。

4.政策の実効性を高める行財政改革

  1. 簡素で効率的な組織及び事務事業のあり方の見直し
     市の組織及び事務事業のあり方について、大胆かつ抜本的に見直す作業に入ります。生産年齢人口の激減は、いずれ現状レベルの職員を確保できなくなる可能性を秘めています。総合的アウトソーシングの選択肢も含め、事務委託や管理委託など民間活力の活用を検討いたします。
  2. 市有施設の整理統合
     多数抱える市有施設の整理統合は、公共施設等総合管理計画に基づいて着実に進めてまいります。この際、施設を使用している市民に対して丁寧に説明し、市民の理解をいただきながら推進してまいります。

 以上、重点施策の基本的な考え方を申し上げました。繰り返しになりますが、「総合計画を着実に実現する」に尽きます。市の将来にとって必要な事業を適時適切に決定し、着実に実行するとともに、安定的な財政運営を図り、市民サービスの充実に努めてまいります。

 そして、新型コロナウイルス危機をむしろ奇貨として、私達が「どのように変わっていくべきか」を考えてまいりたいと思います。

 連休中、市長室を整理していたところ、昭和59年に天城湯ケ島町が作成した「故郷に寄せる21世紀への提言」懇話会記録が出てきました。様々な分野で活躍されている町出身の方々に自由に意見を述べていただいたようですが、驚くべきことに、その内容が、私達が今直面している課題とほとんど変わらないということです。このことは、この30年間で、世界における我が国の国力や地位がかなり低下してきたことと軌を一にしているようにも思えます。

 時代の変化に合わせて考え方を変え、仕事の進め方を変え、まちのあり方を変えていくことによってこそ未来は拓けるものと思います。伊豆市の「新しい生活様式」、「新しいまちづくり」は市民自身が考える、私自身がその先頭に立つということをお誓いし、所信表明といたします。

この記事に関するお問い合わせ先

企画財政課 秘書室
伊豆市小立野38-2
電話:0558-72-1187 ファックス:0558-72-9891
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