所信表明(令和6年伊豆市議会6月定例会)
令和6年伊豆市議会6月定例会に臨むにあたり、私の所信を申し上げます。
4月の市長選挙で市民の皆さんから信任をいただき、あらためて4年間市長
の職を務めさせていただきます。5期目に入るだけでなく、私の年齢も前期高
齢者になりました。これまで以上に市民の皆さんや職員の声に耳を傾ける意識
を大切にしてまいりたいと自覚しています。
1.移住希望者を最大限受け入れる人口減少対策
伊豆市の人口減少は推測値を超えて悪化している一方で、多くの移住希望者
がいます。そしてその多くは「すぐに住宅を購入するのではなく、まずは借家
で伊豆市暮らしを実感したい」との要望です。他人に貸したくないなどの事情
は理解いたしますが、朽ちて活用できなくなってから処理に困っている市民が
少なくないのもまた事実です。地域づくり協議会などの枠組みを活かし、地域
コミュニティの維持を目指す人達との連携を強化して、移住希望の方々を着実
に受け入れる体制を整えてまいります。
また、牧之郷駅前ロータリーが完成し、修善寺駅を含めて鉄道駅周辺の都市
整備を進めてまいります。市街化調整区域を外す都市計画変更に8年、その後
ロータリー完成まで8年と、ここまで16 年を要してきました。いかに行政の
事業には多額の予算と長い年月を必要とするか痛感しています。今年度末には
新中学校と(仮称)日向公園の一部が完成する予定です。概ね10 年遅れてし
まった伊豆市の都市整備事業を着実に完成させます。来年春には、現在工事中
のエリアの風景が大きく様変わりしているはずです。
2.災害死者ゼロを目指す防災
災害死者ゼロを目指すためには、特に行動の制約を受けている高齢の方や障
がいをお持ちの方に対する常日頃の配慮と施策が不可欠です。即座に情報を受
け取れない方もいますし、発災直後には、そのような方々に行政の支援は届き
ません。何としても地域コミュニティの力が必要です。個々人の「わたしの避
難計画」や地区ごとの「わたしたちの避難計画」をリアルに作成し、繰り返し
訓練していただかなくてはなりません。
また、伊豆には多くの観光客が滞在している可能性がありますし、海岸地区
と内陸部の特性に応ずる広域避難も必要になります。すでに7市6町首長会議
において伊豆広域防災計画の策定に着手することが合意されていて、今年度前
半には計画策定の枠組みが決められるものと見積もっています。そのなかには
医療機関や公共交通機関との広域連携も含まれるはずであり、伊豆の広域連携
の真価が問われる段階に入ります。
更に、災害からの復旧・復興のためには、建設業、水道業、設備業など公共
インフラ整備の事業者が十分に維持されることが不可欠です。これは個々の事
業者を優遇することではなく、全体として公益に叶うことです。市民の皆さん
や市議会にしっかり説明したうえで、必要な施策を講じてまいります。
3.公教育における多様な選択肢の確保
少子化が進行することで、児童・生徒の学びや活動の選択肢が少なくなるこ
とが懸念されます。まずは、来年春に開校する伊豆中学校と土肥小中一貫校の
連携を強化しなければなりません。条例のうえでは別の学校になりますが、同
じ学校の2キャンパスにするくらいの対策が必要だと考えています。その内容
は教育委員会の専権事項になりますので、市長としては生徒の移動手段の確保
に努める所存です。
部活動の地域移行も、都市部と伊豆市ではかなり事情が異なると思います。
以前、市長会で伺った講話で、中学生が高校生や大人と一緒に練習することや
複数種目を選択することなどの提言もありました。現行の部活動のあり方に捉
われず、地域スポーツを指導している方々にも参画していただき、いわゆる
「伊豆市スポーツ協議会」のような議論の場を設けることも検討していきたい
と思います。
4.経済的活力維持のための産業振興
まずは、基盤産業としての観光振興を強化します。「基盤産業」と称してい
るのは重要性としての優劣ではなく、対象とするマーケットの大きさの違いで
す。伊豆市民をマーケットとすれば2万8千人、しかし観光交流客は300 万人
を超える数になります。人口減少が進む一方で、観光地としての市の魅力は着
実に高まっています。年間300 万人を超える来訪者をマーケットとして活用し
ない手はありません。宿泊施設や飲食店に限らず、周辺市町と連携して少しで
も多く消費していただく仕組みが必要だと思います。伊豆が一体となって道路
改良を要望する、有機的な情報発信を行う、伊豆の風情に合った景観を整備す
るなどの施策を伊豆広域に呼びかけます。来年度に向けて、桜や梅などの花祭
り、ほたる祭り、もみじ祭りなどは伊豆全体のプロモーションの準備を呼びか
ける所存です。
また、伊豆市の特性に応じた農林業の振興も欠かせません。特に競争力の強
い特用林産(わさび、しいたけ)はもとより、狩野川最上流部の清涼な水を活
かした農業もまだまだ伸びしろのある産業だと考えています。子供たち、孫た
ちに安全で美味しい食材を与えるだけでなく、外国の方を含む富裕層には価値
に見合った価格で消費していただくことができます。未来に向けて大きな将来
性のある産業です。
伊豆市は人口の割に製造業も多く、これら事業所の留置も大切な課題です。
伊豆市の課題は農地以外に広く平坦な土地がないことで、土地利用の在り方を
抜本的に見直す段階にきているものと考えています。
5.行政DXと公共施設再編成の推進
伊豆市の未来を拓くためには、一定規模の将来投資が必要です。現在の事
業、市民サービスを維持するだけでは、将来の市民に対するサービスを提供で
きなくなってしまいます。
人口減少は伊豆市の職員確保にも大きな影響があり、近い将来は必要とする
職員を確保できないことを前提とした改革に着手しています。すでに導入した
民間企業への包括委託に加え、そもそも職員の行政事務を抜本的に改革しなけ
ればなりません。先行事例も多々ありますので、実際に携わる職員がみずから
提言し、実行する気風を強めてまいります。
更に、公共施設の集約・再編成は可能な限り前倒しで進める所存です。天城
会館、総合会館、虹の郷、萬城の滝キャンプ場などに対する民間企業の活用策
をヒアリングするたびに、既存施設を持っていることの負担を痛感いたしま
す。規模が大きく、老朽化した施設は時をおけばおくほど、処理が難しくなっ
てきます。私達が直面している課題の大きさをぜひ市議会の皆様にもご理解い
ただき、あと押しをいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
この記事に関するお問い合わせ先
企画財政課 秘書室
伊豆市小立野38-2
電話:0558-72-1187 ファックス:0558-72-9891
お問い合わせフォーム
- みなさまのご意見をお聞かせください
-
更新日:2024年05月28日